サカサクラゲのエフィラ

今回は待望のメデューサの販売です。「サカサクラゲのプラヌロイド」とあわせてお楽しみください


サカサクラゲ

遊離直後のサカサクラゲのエフィラ。口腕の構造などまだ単純。

カシオペアことサカサクラゲ

普通のクラゲとは上下逆さまになって、触手を上に傘のほうを下にして水底に沈んでいるからサカサクラゲ。
傘は平らでちょっとへこんでいて、これで水底や水槽のガラス面などに吸盤のようにくっついているのが普段の姿。
一見してイソギンチャクみたいに見えますが、ちゃんと傘の周りの部分をを普通のクラゲみたいに動かして泳いだり、底にくっついたまま水流を作って餌を集め たりするんです。必要な栄養の大部分を共生している褐虫藻(かっちゅうそう)の光合成によって作り出す生産物に依存していて、たんぱく質などを補うために 少しだけプランクトンを食べているという、動物なのに植物みたいなヘンテコ生物。

カシオペアCassiopeaはサカサクラゲの属名です。10種が知られていますが、sp.はその一種、という意味です。
サカサクラゲ属は、1属だけでサカサクラゲ科Cassiopeidaeを構成し、タコクラゲやエチゼンクラゲと同じ「根口クラゲ目(ねくちくらげもく)Rhizostomeae」に属します。

名の元になってるカシオペアはギリシャ神話にでてくるエチオピアの王妃で、海神ポセイドンの娘達より美しい、などと娘のアンドロメダを(本人を、との話もあり)自慢したのがポセイドンの耳に入るとこちらも親馬鹿、逆鱗に触れて国を滅ぼしてやる、娘を怪物の生贄にささげるならば許してやる、という神託にもはや従うしかない。というときに駆けつけたるは英雄ペルセウス、携えしは恐ろしき怪物メデューサの首・・・というあのお話。
結局まだポセイドンの怒りは収まらず王妃カシオペアは星座になっても椅子に座ったままで海に沈んで休むことを許されないから、逆さまになって北の空を回ってるってところから、サカサクラゲの学名に使われたらしいのです。ちょっと、こじつけっぽいんですけどね。


飼育は容易、入門種です

クラゲとしては丈夫で、ポリプだけでなく成体のメデューサも飼いやすい、初心者向けのクラゲです。 とくに熱帯魚や海水魚の飼育経験のあるアクアリストには違和感なく飼育できるでしょう。
ミズクラゲのように水流が必要なわけではないし、気泡に弱いわけでもありません。条件さえあえば、普通の海水水槽のなかに入れて飼うこともできるぐらい。
ほんとに時々、ですが、熱帯魚店などにも採集されたと思われる個体が少数入荷することがありますね。よく見るのは5センチから15センチぐらいのサイズ。まとまって入荷することは少なく、数匹が他の魚やクラゲと水槽に入って売られていることが多いみたいです。


お届けは小さなクラゲで

今回の販売はそれよりももっと小さい、生まれたばかりのサカサクラゲのエフィラです。水槽を用意しなくても、コップなどの小さな容器があれば簡単に飼い始めることができます。
褐虫藻の色によって個体ごとに色がちがっていて、茶色だったり水色だったりするのですが、今回は美しいブルーの個体。ピコピコと拍動する姿に心も癒されます。
ポリプを飼ったことがあれば難しいことはなにもありません。クラゲを飼うのは初めて!という方にはワイングラスで飼うミズクラゲも参考になると思います。


低水温は苦手

サカサクラゲは熱帯性のクラゲです。
水温は20℃~28℃を保つようにしてください。水温が低いと活動ができなくなり死んでしまいます。
冬場など小さい容器では水温を保つのは難しいのですが、そこは工夫次第。
熱帯魚の水槽をお持ちなら、蓋の上やろ過装置の上は常に25℃前後になっているのを利用できるでしょう。
冷蔵庫の周辺などは常に放熱があって夜間でもちょっとだけ温度が高くなっています。

どうしても水温が上げられないときは、デスクランプの下においてあげれば、光合成もできて一石二鳥。ただし白熱球だと水温が上がりすぎることもあるので水槽までの距離で調節が必要です。
いっぽう高い水温では褐虫藻が死んでしまい光合成ができなくなってしまいます。夏場に留守にするときなど、締め切った部屋の水槽の水温は30℃を軽く超えます。


届いた容器のままでも飼える

ちいさなクラゲなので、密閉できるキャップ付のビンでお送りします。最初のうちは、これを飼育容器にしても大丈夫。
届いたらすぐ、輸送のために海水を大目に入れてあるので、これを少し捨てて、八分目ぐらいにしてください。
そうそう、海水を捨てるときは、必ず別の容器を用意して、そこに入れるように。間違ってクラゲを流してしまわないようにね。
これでひと安心。あとはのんびり、餌の準備や海水の準備をすることにしましょう。しばらくのあいだは、この容器のままで飼い続けることもできます。ただし、餌の食べ残しは小まめにとりのぞいて、海水もどんどん取り替えてください。
密閉容器で酸素不足にならないかって?大丈夫、もともと小さなクラゲなどはよっぽど過密にしないかぎり、酸素の消費量なんて微々たるものなのです。


自然光で、直射日光は避けて!

光をあてるのも大事なお世話のひとつです。一日数時間ぐらい、昼間の自然光が入る窓際などに置いて光をあててやるの が道具も電気代もいらないもっとも安上がりな方法。

ただし、くれぐれも、直射日光があたらないように。小さな容器ではすぐに水温があがって煮殺してしまいます。
それに、ペットボトルや丸いガラス容器だと、虫眼鏡と同じ集光効果で火災の原因になる危険もあります。ちいさな水槽は直射日光にあてない、これはサカサクラゲに限らず、ルールとして守ってくださいね。


人工光なら、すごく強めに!

昼間は世話ができなかったり条件にあう場所がないときは人工光をつかうことになります。 このときの注意は、とにかく強めに、ということ。
蛍光灯ならほとんど熱をださないから、サカサクラゲを入れた容器のすぐそばに置いてやってください。LEDランプを使う場合は、植物用の波長を出すタイプのものを選んでください。

普段は気にしないことですが、夜間の室内の明かりは非常に「暗い」のです。
人間の感覚は暗い場所になれてしまうので天井の照明だけで明るい部屋と感じていますが、絶対的な光の量としてはかなり不足。それでも光源の近くならそこそこの光量を稼げますから、熱や火災に気をつけて、デスクランプなどで上手に照らしてやってください。


餌はブラインシュリンプ

餌はブラインシュリンプの孵化直後の水洗いしたものちょっとだけ。ピペット等で足の部分に吹きかけて与えます。餌を与えてしばらくしたら、餌の食べ残しは取り除いて、ついでに少し海水も交換します。

ミズクラゲほど水質にうるさくないので毎回全交換でなくても大丈夫。3分の1を目安に取り替えてください。

ところで、このサカサクラゲですが、よく見ても口らしい口がみあたらないのに、餌を与えるといつのまにか胃の中に収まっています。
小さいうちだけでなくて、大きくなると足が枝分かれしてモジャモジャになるのですが、相変わらず口は見当たらない。
実は、サカサクラゲやタコクラゲなどは足のように見える口腕(こうわん)がいったん癒合して閉じて、複雑に枝分かれしたあとそれぞれの先端が開く、という特殊な構造になっておりまして、一言でいうと「おちょぼ口がたくさんある」状態になっています。これが分類名の「根口クラゲ」の由来。
ですから「どこが口?」といわれても、足全体に小さい口の集まりなのです。ここから食べるわけだから、どうしてもプランクトンのようなものを吸い込んで食べるだけになってしまうわけです。


大きくなったら水槽で

狭い容器では成長がストップしてしまうので早めに一回りずつ大きな容器に入れ替えてあげてください。
ある程度大きくなったら、照明がセットできて循環装置もついた水槽を用意してあげましょう。

ミズクラゲのように水流や気泡にシビアではないから、普通の海水魚セットでも飼育できそうですが・・・おっと、ここで注意。フィルターの水流にさからって泳ぐほどの力がないので、吸い込み口がそのままだと吸い込まれてトコロテンのようにコマギレになってしまいます。
水槽用のセパレーターかパンチボードでサカサクラゲのいる飼育エリアとフィルターの吸い込み口を隔離しましょう。可能ならさらにスポンジフィルターも装着しましょう。冬場に保温用のヒーターを入れる場合もサ カサクラゲが触れないように、セパレーターの裏側にセットします。

もっと簡単な応用編としては、水槽に浅めのザルを浮かべた「生けす」にサカサクラゲを入れちゃうのはどうでしょうか。
水面に近くて照明の効率もよいという一石二鳥。もっと手っ取り早く、市販の「産卵箱」を流用するのもいいですね。


青いサカサクラゲ問題について

さて、販売の前に、ひとつだけお断りを。

今回販売するのはブルーの個体で、ほんのちょっとだけ褐色が入っている程度。 このブルーのサカサクラゲなのですが、同じ種でも茶色のタイプに比べて同条件で飼育しても成長が遅いといわれています。
餌は同じように食べるので共生している褐虫藻の違いなのでしょう。量が少ないのか別のタイプなのか、もしくは全くいないのかよくわからないのですが、サカサクラゲに限っていうと褐虫藻が全くないクラゲも餌を与えているかぎりちゃんと健康に育ちます。

他種の根口クラゲ目のクラゲの何種かは褐虫藻の増殖自体がストロビラ化の条件になっていることもあり、褐虫藻なしではクラゲになることすらないのですが、サカサクラゲについては褐虫藻なしの個体でもストロビラ化するようです。 もしかしたら飼育下の人工光での結果がこうなっているだけで、自然では太陽光が強く差し込む浅瀬ではブルーのサカサクラゲのほうが有利になるのかもしれませんね。

そんなわけで、青い個体の褐虫藻問題についてはまだまだ課題を残したままです。でも、ブルーの個体は私も初めて飼育するんですが、想像以上に美しいんですよ。サカサクラゲはどちらかというと地味なイメージがあるのですが、このブルーのサカサクラゲの繊細な美しさを見たら印象が変わるかも知れませんよ。私もちょっと親バカ、です。


販売は季節限定

冬季に輸送ができないため、販売は春~秋までの限定商品です。 2個体からの販売です。 増量セットやポリプとプラヌロイドが一緒の特別セットも時々販売しています。お見逃しなく。

M-005 サカサクラゲのエフィラ(2個体) ¥1,200(送料別)
予約受付
M-015 サカサクラゲのエフィラ(2個体)+飼育セット ¥2,700(送料別)
予約受付
M-005Z サカサクラゲのエフィラ(7個体) ¥2,500(送料別)
予約受付
M-015Z サカサクラゲのエフィラ(7個体)+飼育セット ¥4,000(送料別)
予約受付

M-015のほうの飼育セットの中身は以下の通り。到着してすぐ必要なものを少量ずつ用意しました。

  • 観察用シャーレ
  • ミニシャーレ
  • ブラインシュリンプの卵(クラゲの餌)
  • ブラインシュリンプ用スプーン
  • ピペット
  • ミニピペット
  • 飼育用海水(500ミリリットル、すぐ使えます)
  • 人工海水の素(換水用1リットル分)
  • 塩素中和剤(水道水のカルキ抜き)

メールでのご注文はご注文のページからお願いします。


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