キタクダウミヒドラ

クダウミヒドラの一種

「北」シリーズ第三弾

キタユウレイクラゲ・キタミズクラゲに続いての第三弾はクラゲを出さないヒドロ虫、キタクラウミヒドラの販売です。

図鑑で知って、何となく飼えそう、でも手に入れる方法がない、そんな生物です。

例によってお客様から提供いただいたポリプの、おすそ分け販売です。こういう隙間っぽい生物、買い逃すと二度と手に入らなかったりするのでちょっとでも興味があれば、是非手元においてください。

SH-001 キタクダウミヒドラ 一個体(冬季限定)¥1,300(送料別)
予約受付
SH-001CH キタクダウミヒドラ 一個体(チルド便)¥2,300(送料別)
予約受付

低温安定タイプ

孵化直後のアルテミアを捕食し簡単に維持ができます。

ただし、高温に弱くて温度が高いとヒドラ花が縮小して休眠に入ってしまうようです。25℃あたりが限界で、最適温度はたぶん20℃ぐらい。

水槽用のクーラーを準備して贅沢に飼うのもいいですが、夏場を保冷庫や冷蔵庫に「避暑」させてやり過ごす方法も可能です。

群体性、中型ヒドロ虫

群体性ヒドロ虫としてはかなり大き目、走根(ヒドロ根)から立ち上がるヒドロ茎は10センチ近く、ちょっと縮れたような伸び方。

先端のヒドロ花はとっくり型で、口のまわりの触手(口辺触手)ととっくりの底部を取り巻く形でもう一周触手を持ちます。触手は両方とも虫ピンみたいな球が先端についている有頭触手です。

ヒドロ花はちょっと上品なピンク色になります。

学名とか分類とか

Ectopleura radiataとしましたが、もしかしたら近縁の別種かもしれません。

花クラゲ目のクダウミヒドラ科、ソトエリクラゲ属という所属になります。

  • 真核生物 Eukarya
    • 動物界 Animalia
      • 刺胞動物門 Cnidaria
        • ヒドロ虫綱 Hydrozoa
          • クダウミヒドラ科 Tubulariidae
            • ソトエリクラゲ属 Ectopleura
              • キタクダウミヒドラ Ectopleura radiata

ちょっと前まで、Tubularia radiataの属名でした。属がソトエリクラゲとなっていますが、同じ属のクラゲを出す種(ソトエリクラゲ、E.dumortieri)が由来です。

このクラゲは傘の外側Ectoにえり(襟)pleura(=肋みたいな意味)を持つためにこの属名になっています。昔の属名ツブラリアはチューブつまり管、でした。

で、ややこしいですがキタクダウミヒドラは、クラゲを出しません。

クラゲは出さない

繰り返しますが、クラゲ(メデューサ)相はありません。

同じ属でクラゲが出る種と出ない種があるってなんだか不思議なんですが、まあそうなっているんです。

キタクダウミヒドラはヒドロ花の部分、2種類の触手の間に造卵器、造精器を直接発達させます。

卵は母体に付着したままでで受精して発生を始めます。プラヌラに相当する時期になってもまだ遊離せず、きわめて小さなポリプのように触手を持ったところでようやく母体から離れます。

それが「アクチヌラ型幼生」です。

アクチヌラ型幼生

初期のポリプはプランクトン的な時期を持ち、固着してあたらしいキタクダウミヒドラポリプになるわけですが、その方法と形態が少し変わっていてアクチヌラ幼生と呼ばれます。あくまでも有性生殖するメデューサではなく、ポリプの初期形態という位置づけです。

遊泳用の触手が生えた状態で遊離します。この触手は実は反口触手で、口や口辺触手もすでに完成している状態です。

ポリプの一生の中でほんの短期間だけ現れる形態ですから、雌雄をそろえて飼育しているか、受精済みのメス個体を採集すれば観察できる極めて贅沢な生態です。

ただうちの個体、提供者のところでアクチヌラからポリプ化した株で、おそらく単一クローンでしかも雌雄が不明です。だから店主もまだアクチヌラは見たことがないのです。

餌はブラインシュリンプ

ありがたいことにふ化直後のブラインシュリンプを食べてくれます。

反口触手で捕獲して口辺触手に受け渡してから飲み込む様は花クラゲ目のクラゲが傘縁触手を使って上手に餌を食べる様子に似ています。

で、シャーレなど小さい容器の止水で飼うならば食べ終わったころを見計らって食べ残しを取り除きながら全換水します。

最初のうちは転がしておけば大丈夫、そのうちヒドロ茎の下のほうの部分がシャーレの底に付着しながら伸長します。

大き目の容器ならばちょうど食べきる餌を与えて月に一回ぐらい換水する方法もありますが、個体数によってちょうどいい容量の海水を工夫してください。夏場など冷蔵庫や保冷庫での「避暑」の際にはこの方法が効率がいいので選択肢として候補に入れておいてください。

剪定しないと増えない?

普通のポリプなら餌与えて放置しておけば大体増えるのですが、このキタクダウミヒドラはあまり増殖しません。

ヒドロ茎が十分に長くなったらハサミやカッター等で切断してやると、ヒドロ花が再生してくることによって個体を増やすことができます。

試しに切らずにそのまま育ててみると、茎の下のほうの部分がちょっと太くなってまるで栄養を貯めているようにも見えます。

本来この種は野性では群生したコロニーを作ります。切らないと殖えないなんてわけはないので飼育方法に何か足らないところがあるからだと思われます。

近縁種は砂地のようなところに生息するという情報もあるので砂にヒドロ根を潜らせるような飼育環境を整えてあげるのがいいのかもしれないし、そうではないかもしれない。それほど深刻ではない謎解きとしてお楽しみください。

通常販売は冬季のみ

SH-001 キタクダウミヒドラ 一個体(冬季限定)¥1,300(送料別)
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SH-001CH キタクダウミヒドラ 一個体(チルド便)¥2,300(送料別)
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冬季と夏期で価格が違うことにご注意ください。夏期はチルド便するため他商品と同梱出来ません。

説明書は付属しません(今のところ)。

クラゲとポリプの販売サイトです。