ミズクラゲシリーズ、としては通年販売のポリプ以外のステージを期間限定として紹介しつづけてきましたが、今回紹介するのはエフィラ。
知らないとなんだか特撮怪獣みたいな名前ですが、これぞ知る人ぞ知る、クラゲの赤ちゃんなのです。
目次
エフィラって何?
一言でいうと、ミズクラゲやタコクラゲなど、鉢クラゲ鋼のクラゲの赤ちゃん。
いちばん有名なミズクラゲの例でいうと、受精卵がプラヌラとなり、変態してポリプ(スキフラ)となって増殖し、温度が下がるとストロビラになり、そこからこのエフィラが分裂するように生まれてくる、というわけです。そしてエフィラがメテフィラを経て、成体のクラゲへと成長していきます。
全てのクラゲにエフィラの時期があるわけではありません。ヒドロ虫鋼のマミズクラゲやハナガサクラゲ、同じ鉢虫鋼でもジュウモンジクラゲの仲間にはこのエフィラの時期はありません。
親とは似ても似つかないけど
これがクラゲ?と思うぐらい、違うカタチで生まれてくるというのもクラゲの魅力のひとつですけれども。
だいたい、あのミズクラゲ独特の透明感がない。褐色というか、かなり赤色に近いですね。しかも寒天質ではあるのでしょうが、みためはクリスピイな感じがします。これから変態して、まあ常識的にもクラゲと思えるようなメテフィラとなるのですが、一回脱皮でもするんじゃないか、と思ってしまいます。
でも、よく見ると歯車状の突起部の一つ一つは、成体のミズクラゲ縁弁器官そのものです。上の写真で白く星のように光ってみえるところ、あれが眼点になります。成長につれてこの突起部の間に寒天質が充実してきて、同時に単純だった口の部分が発達して4本の口腕になり、おなじみのミズクラゲになっていくのです。
さて、どうやって飼う?
飼育自体は簡単なもの。
ただし小さいものですから、市販のクラゲ用水槽だとか、海水魚など飼っている水槽のなかにドボン、というのはやめてくださいね。
MyAQUAオリジナルの、ポリプ用ミニ水槽も使えません。
短期間のことなので、ろ過装置なし、底砂利なし、エアレーション(つまりブクブク)だけ、またはエアレーションもなしの水槽で飼育する、というのが基本です。
基本的な飼育方法は、ワイングラスのミズクラゲに準じますが、可能ならばエアポンプでのブクブクを使って水流を作るのがよろしい。遊泳力が弱いので、底にしずんだ状態になり易いのです。
保温は不要、寒いくらいの場所で
ヒーター、サーモスタットなどの保温器具は、冬の時期でも必要ありません。逆に夏場にどうしてもエフィラを飼う、なんてことになったら、クーラーつけっぱなしの部屋か、冷却装置が必要です。だいたい10℃から26℃くらいが目標。水温が高いほど、代謝が活発になりますからこまめに給餌、換水が必要となってしまいます。温度一定のほうがいいので、玄関などの暖房がない場所のほうがいいことも。
飼育容器を選ぶ
コップみたいなものがあればそれで充分。ちょっと背の高い容器の方がいいですね。同じものを2つ用意します。
理想をいえば、最近100円ショップでも各サイズが出回っている太鼓型のガラス瓶がよろしい。なぜかというと、これ、エアポンプでごく弱いエアレーションをかけると、きれいに水流ができるんです。200~300ccくらい入るようなもので、ネコビン、という商品名で売られていることが多いようです。
コツはちょっと多めに海水を入れることと、気泡が側面の曲線にそってあがっていくように、エアチューブの位置を調整すること。
余談ですが。外国の映画なんかで見る金魚鉢って、なぜかみなこのカタチですね。そういえば、時代劇でも木枠と板ガラスでつくった太鼓型水槽見たことあるぞ。ちょっと調査してみたい宿題です。
エアポンプと、三つ又分岐弁を組み合わせて
弱いエアレーションを作るには、この2つが必須。あともちろんエアチューブ。
二又、というのも売っていますが、是非三つ又の方を入手してください。一本はクラゲに、一本はブラインシュリンプの孵化に、そして余ったもう一本は全体の強さを調整する為に遊ばせる、ということができますので。この遊ばせるほうの口には、20センチくらいのチューブを接続しておく方がエアポンプの音がすこし静かになります。
エアストーンはつけない方がいいでしょう。エアチューブだけだと浮き上がってしまうので、外径が5mmのプラスチックかガラスのパイプをつけるのが便利です。プラスチックのは模型屋さんで売られているのがちょうど手ごろ。
ここでちょっと小技。エアレーションするパイプの先には短く切った(4cmくらい)エアチューブをとりつけます。これで、
- 大き目の気泡が出来る
- 容器を傷つけない
- パイプ内側に出来る塩のカタマリを取り除きやすい
と一挙3得。エアチューブは硬化したらどんどん取り換えてください。
エアレーションなしの場合
色々実験してみてわかったんだけど、生きたアルテミアを与えて10個体ぐらいまでの少数で育てるなら、コップのような容器でエアレーション、つまりブクブクなしで元気に育つようです。ただこの時に気を付けたいのは餌を与えるときだけちょっと水流を作ってエフィラと餌が遭遇するようにしてあげること、給餌後に換水して食べ残しや吐き出した未消化の餌を取り除くのといっしょに、容器も交換して常に清潔な状態に保つこと。エフィラは底に沈んだ状態なのでワイングラスのような形より、平らなプリンカップのようなものがいいかもしれません。
餌は孵化したばかりのブラインシュリンプ
エフィラは口がまだ小さいので、これは大事。冬は保温しないかぎりブラインシュリンプの孵化も遅いので、上手に毎日新しいブラインシュリンプを孵化させつづける、というのが大事。
不思議なことに、遊離したばかりのエフィラは結構絶食に耐えるみたいですよ。かえって餌を与えすぎるのはよくないようで、口腕ばかり発達した奇形のクラゲになってしまうとされています。最初は、一日か二日に孵化直後のブラインシュリンプ1~2匹ぐらい。これは、難しいよ。均等に、食いっぱぐれる子が出ないようにするだけでなく、いかに自分を抑えるか。ついつい余分に餌やっちゃうんだよね。
換水は容器ごと
食べ終わったら換水、はポリプ飼育のルールといっしょ。ただし、今回はエフィラの方を移します。
まずきれいに洗った飼育容器に、新しい海水を入れ準備。このとき、海水の濃度と温度をあわせるのに注意。うっかりしやすいのは、容器を温水で洗った場合の温度差。海水を入れる前に冷水ですすぐなどして調節をおわすれなく。
エフィラを移すのは、ピペットでも可能ですが傷つけちゃうのが心配。プラスチック製のピペットが余分にあるなら、先を切り落として口径を広げたものを使用します。切り落とすのがもったいなければ、エアチューブを先端につけて代用できますが十分に長めにすることに注意。
もしくは、ストローを使うのが簡単で安上がりでしょうか。片方を指で押さえたまま水中に入れ、すばやく指を離すとストローに海水が入ってきます。再び上端を指で押さえたまま持ち上げて別の容器に移す、というアンバイ。透明なパイプがあればさらにいいですね。同じ方法で、ガラス製のピペットのゴム球の部分をはずして逆さまにつかうと一番快適。指で押さえる先端部分には破損防止を兼ねて短く切ったエアチューブをかぶせるとさらに扱いやすい。
透明になってきたらメテフィラ
エフィラでいる期間は1週間から2週間くらい。徐々に透明化して、傘の歯車が目立たなくなってクラゲらしくなってきます。これがメテフィラ。ワイングラスのミズクラゲの段階となるわけです。
ところで、けしかけるわけではありませんが、もしも学校や仕事場に持っていってクラゲを見せびらかして今までクラゲに興味のなかった人をも引き込むなら、この時期がたぶん唯一のチャンスですぞ。メテフィラ以上だと運ぶのにも大掛かりだしご飯の心配しなきゃならないし、ポリプでは動きがない分魅力に乏しい。自分でも飼ってみたい、という人も現れるでしょう。そのときは当店の紹介をお忘れなく。
期間限定販売
エフィラの販売は冬季限定です。
ご注文の際は、ミズクラゲのポリプも是非あわせてご検討ください。
M-004 | ミズクラゲのエフィラ(3個体) | ¥1,000(送料別) |
M-014 | ミズクラゲのエフィラ(3個体)+飼育セット | ¥2,500(送料別) |
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