スギウラヤクチクラゲ

もう買う検討をしてほしい。分裂して無性生殖するメデューサです。在庫ありになってたら、買ってください。買いそこなって後悔しないように。

M-006 スギウラヤクチクラゲのメデューサ¥1,100(送料込)
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M-016 スギウラヤクチクラゲのメデューサと飼育セット¥2,600(送料込)
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コップひとつあれば飼えるクラゲ

スギウラヤクチクラゲ Sugiura chengshanenseを紹介します。

もう海水と餌だけあるなら、ほかに何もいりません。

コップのような観察しやすい容器だけでクラゲ飼育を楽しめます。

サイズは5ミリメートルから大きくて1センチメートルぐらい。

薄い皿のような、コンタクトレンズのような透明な傘の周辺にクモの糸のような触手、小さな口、ちょっと不規則な放射管を持つのが特徴です。傘縁に多くの触手と平衡胞が見られます。

スギウラヤクチクラゲの触手・平衡胞
スギウラヤクチクラゲの触手・平衡胞。触手は縮んでいることが多い。

光の当て方によっては口柄・放射管・傘縁が緑色の蛍光色に光ります。

野生では早春や晩秋に内湾の水面近くに見られます。肉眼で海面から発見は困難ですが海水を汲んでみたり目の細かいネットで採集できます。

やや低温を好むのでメデューサが夏を越すのは工夫が必要ですがそれでも飼う価値のあるクラゲ、なんです。

昔の名前は「ヤクチクラゲ」

古い文献や図鑑では ヤクチクラゲ、学名は Gastroblasta chengshanenseとして記述されていました。Gastroは胃とか腹部の意味、blastaは芽とか蕾の意味(原型はblastos)の意味のラテン語に由来しています。chengshanenseは発見地の浙江省(浙江省、Zhèjiāng Shěng)に地名を示す接尾語enseがついた形ということみたいです。

その後Gastroblasta属との特徴の違いから別属Sugiuraが提唱され今の学名になりました。新属名は本種や鉢クラゲの生活史の研究に功績があった故杉浦靖夫博士に献名してブイヨンJean Bouillonによって名付けられています。

分類上は軟クラゲ目に属します。

  • 刺胞動物門 (Cnidaria)
    • ヒドロ虫綱 (Hydrozoa)
      • 軟クラゲ目 (Leptothecata)
        • ヤクチクラゲ科 (Tiarannidae)
          • スギウラ属 (Sugiura)
            • スギウラヤクチクラゲ (Sugiura chengshanense)

口がいっぱいある

和名を漢字で書くと「杉浦八口水母」です。

普通のヒドロ虫綱の メデューサ は傘の中心にいろいろな形の胃腔とそれに続く口柄を持つのですが、スギウラヤクチクラゲは放射管上に複数の口柄が形成されます。ギヤマンクラゲやエイレネクラゲのような下垂はなく、小さなかわいらしい口ができるのです。

実際に口が常に8個できるわけではありませんが、日本語では八をヤと読んで「数えきれないほどたくさん」を示す固有名詞にすることがあって、八十(やそ)とか八百(やお)とか八百万(やおよろず)などがいい例です。なかなか気の利いた名前ではないですか。

で、何のために口柄たくさんあるかというと。

分裂して増える

傘がちぎれるように分裂します。だいたい二等分にわかれたときにそれぞれの個体に口柄が入るようになるために「ヤクチ」化するわけです。

分裂直前のスギウラヤクチクラゲ

メデューサが無性生殖する例は珍しくなくて花クラゲ目のシミコクラゲや淡水クラゲ目のコモチカギノテクラゲなど複数のグループで起こっていますが大多数はクラゲ芽から小さなメデューサが生まれるパターンです。

スギウラヤクチクラゲの場合はポリプから遊離した時以外は小さいクラゲではなく、そこそこに生体に近い形状のメデューサが増え続けるわけです。

メデューサの飼育

先述の通り、コップで飼えます。蓋ができるペットボトルなどでも。水流は必要ありません。餌はブラインシュリンプだけでも充分飼育できます。

水温の適温はやや低め、15~20℃が適温といわれますが夏場の高温だけ避ければ飼育は可能です。15℃以下(13~14℃)では分裂せず口柄だけが増え、20℃前後でよく分裂増殖するともいわれます。産地によって違いがあるかもしれません。

ろ過装置を使えないので給餌後に食べ残しのブラインシュリンプを取り除く意味もかねて換水を行ってください。時々新しい容器に移してやるほうがいいかもしれません。

有性生殖

スギウラヤクチクラゲの生殖腺
スギウラヤクチクラゲ生殖腺、放射管上に形成される

分裂による無性生殖をしながらも放射管上に生殖腺が発達します。雌雄異体と思われますが、クローン増殖で性転換が起こるのかは不明です。水温15℃での維持で体外受精しプラヌラを得られるといいますがこれも産地や採集季節の条件によって違うかもしれません。卵もプラヌラもとにかく小さいので見逃さないように、換水した海水を保存するとか最初から大きめの飼育槽で飼うなど工夫が必要かと思われます。

スギウラヤクチクラゲ、雌の生殖腺
スギウラヤクチクラゲ、雌の生殖腺

ポリプ飼育

プラヌラから得られるポリプはかなり小さいのでシオミズツボワムシのような飼料を与えてください。ポリプは鞘を持つ典型的な軟クラゲ目の美しいポリプで、触手の間に水かき状の膜があります。

成長したポリプはブラインシュリンプを捕食しますが、シャーレで長期間飼育するのは難しいのでポリプ育成水槽での飼育を検討してください。

ポリプは水温・水質・塩分濃度の変化でメデューサを出芽すると思われます。メデューサはかなり小さいですが最初から触手が長く最初からブラインシュリンプを上手に捕食します。

今回まだ(2025年1月)ポリプを確保できていません。

まずは楽しんで、そしてポリプ確保を

今回メデューサのみの販売です。野生個体を入手しているのでプラヌラやポリプを得られる可能性があります。まずは飼育を楽しんで、プラヌラの観察やポリプの確保の機会があればどうかお見逃しなく。

M-006 スギウラヤクチクラゲのメデューサ¥1,100(送料込)
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M-016 スギウラヤクチクラゲのメデューサと飼育セット¥2,600(送料込)
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飼育セットはいつもの通り。

  • 観察用シャーレ φ90mm
  • ミニシャーレ φ30mm
  • ブラインシュリンプの卵(ポリプの餌)
  • ブラインシュリンプ用スプーン
  • ピペット
  • ミニピペット
  • 飼育用海水(500cc、すぐ使えます)
  • 人工海水の素(水換用500cc分x2)
  • 塩素中和剤(水道水のカルキ抜き)

クラゲとポリプの販売サイトです。