これは店主の、楽しみのおすそわけ販売です。時々品切れしたりする予定ですので、ご容赦を。
目次
イソギンチャクをシャーレでも
コップで飼うイソギンチャク、というジャンルがありまして。
ウメボシイソギンチャクやタテジマイソギンチャク、ミドリイソギンチャクなどの潮溜まりでよく見られる比較的小型で丈夫な種類を、ちいさな容器で止水で適宜海水を交換しながら飼うという「アクアリウム」なのですが、小さいもの好きな店主としてはこれでもまだちょっと大きいかな、と思っていたのです。
そんなとき偶然であったのがコレ。
その名もチギレイソギンチャク
海で拾ってきたナゾ生物。その場ではイソギンチャクとしかわからなかったけど、つれて帰ってみたらすぐにわかりました。
和名はチギレイソギンチャク。学名は Aiptasiomorpha minuta。
潮溜りでよく見るタテジマイソギンチャクの仲間です。
イソギンチャクによくある、触手の下の襟(えり)構造が無いのが特徴のひとつ。
餌や育て方にもよるのですが、透明で、すごくきれい。小さいうちはちょっとクラゲみたい。
大きさはミズクラゲのポリプの3倍程度なので、イソギンチャクとしてはかなり小さい種類です。
クマノミと一緒に水槽に入れるようなイソギンチャクではありません。
ちぎれる、というアイデンティティ
チギレ、ってへんな名前でしょ?そう、まさにチギれるのです。チギレイソギンチャクも他のイソギンチャクと同様「歩く」のですが、その歩いたあとに自らの一部をまるで足跡のように残すのです。
最初はただのひらべったい肉の塊なのが数日の内に触手が出てちいさなイソギンチャクの形になるのはすごく不思議。
クラゲのポリプでも、エチゼンクラゲやスナイロクラゲも移動した後に新しいポリプを残す殖え方をするんでしたっけ。
チギレイソギンチャクの飼い方
もちろん、シャーレで飼いましょう。 飼い方はミズクラゲのポリプと全く同じでどうぞ。増殖させるなら毎日、ブラインシュリンプを与えてください。ろ過装置がついていないので、食べ終わったらまず食べ残しを取り除いて、そのあとちょっと時間を置いて海水を全部交換してください。
水温は18℃~28℃ぐらいが調子がいいみたい。低温すぎると触手を縮めて、例の分裂した直後のようなカタマリに戻っちゃう。もちろん適温に戻せば、ちゃんと元通りのイソギンチャクの形に戻るんですけれどもね。
ウンチをするところを観察しよう
クラゲやイソギンチャクの仲間(刺胞動物)は、口と肛門の区別がなくて、消化しきれなかった食べ物(すなわちウンチ)を口から吐き出す(うわあ!)というのはご存知かと思いますが、実際に観察したことはありますか?
ミズクラゲポリプでも実際にウンチしているのですが、体が小さい上にブラインシュリンプが消化がよすぎるため、はっきりしたウンチはちょっとわかりづらい。その点チギレイソギンチャクならば、体が大きめなせいか1個体が食べる量が多いせいか、ウンチの量も多くてはっきりわかります。
海水交換した後でも、糞を吐き出してたらピペットなどで取り除いてください。触手を縮めているようなら海水も交換します。
一輪挿しみたいに飼う
そこで、こんな飼育方法も、という提案。小さな密閉できる100ccぐらいのガラス容器に少しのサンゴ砂と8分目ぐらいの海水を入れて、チギレイソギンチャクを一匹だけじっくり飼ってみるのはいかがでしょうか。
餌は週に1回ぐらい、ほんのちょっと食べきるだけの量のブラインシュリンプを与えます。もし糞をしたのを見つけたらそれだけピペットで取り除いて、減った分の海水を足すだけ。海水が黄ばんできたり触手の伸びが悪いなと感じたら海水の大部分をごっそり交換します。
密閉容器なので月曜日に仕事場に連れて行って机の上で眺めて、週末には連れ帰っておうちで一緒に過ごす、なんて、ちょっとカッコよくないですか?
イソギンチャクは少食
イソギンチャクの魅力って「きれいなのに自分より大きい魚だって捕まえて食べちゃう凶暴なプレデター」というイメージも手伝ってるはず。 でも実際のイソギンチャクの多くはめったに魚捕まえたりはしません。ましてや、このチギレイソギンチャクのような小型種ではなおさら。
本来イソギンチャクはすごく小食で、飼育下でも小魚や魚肉の切れ端を与えても、ほとんど未消化で吐き出しちゃう。魚肉はミンチのようにして、すこしづつ与えるのがイソギンチャク飼育では有効といわれていますが、ウメボシイソギンチャクやミドリイソギンチャクぐらいのサイズまでならブラインシュリンプだけぐらいのキモチのほうが初心者ではうまく飼育できるかも。
えっ、嫌われ者なの?
こんなカワイイのを、大嫌いな人々がいるんですよ。
小さくて増える生き物を、小さい水槽で飼育するには水質やら過密やら、いろいろ気を付けてても問題が起こっちゃうもので、そこがまた楽しみでもあるのですが。
何かの間違いで、海水魚やサンゴ等を飼育している大型水槽にチギレイソギンチャクが混入してしまうと、気づいたときには手の付けられないような状況に陥ります。雑草のように繁殖して水槽中にいっぱいになっちゃう。手当たりしだいに取り除いても小さな断片があれば再生してしまいます。
私が愛してやまないヒドラでもプラナリアでも同じなのですが、「飼育して維持し続けるのは難しい生物がいったん水槽内に蔓延すると、駆除するほうが難しい」という、あのパターンです。もちろん真水で洗っちゃえばあっさり死亡するんだけど、せっかくバランスがとれた水槽も台無しになっちゃう。
でも嫌われ者だって、美しい。そんな眼で見てやって欲しいのです。
少数派かもしれないけれど、私は、チギレイソギンチャクの味方です。
名前とか付けて、可愛がってくれる方に
ご注文はこちらのページをよくお読みの上、メールにてお願いします。 輸送の都合上、あまり大きくなっていない若い個体を選んでお送りしています。
到着したら、名前なんか付けたりして、可愛がってあげてください。
ペットとして飼われたことがあまりない生き物なので、飼育方法もコレ!という決定版はありません。
自由に飼ってください。万一絶やしてしまっても、送料のみで再送しますから失敗を恐れないでくださいね。
品番 | 品名 | 価格(税込) |
F-001 | チギレイソギンチャク (3個体)生体のみ | ¥1,000(送料別) |
F-011 | チギレイソギンチャク (3個体)+飼育セット | ¥2,500(送料別) |
F-011の飼育キットの内容は以下のとおり。
・チギレイソギンチャク(約3個体)
・ブラインシュリンプの卵(餌)
・ブラインシュリンプ用スプーン
・飼育用海水(500cc)
・飼育用海水の素(500cc分x2)
・ピペット
・ミニピペット
・シャーレ
・ミニシャーレ
・塩素中和剤(水道水のカルキ抜き)