ミズクラゲのポリプ、飼育マニュアル(シャーレで徹底飼育編)

今回は飼育セットの付属品のひとつ、観察用シャーレで飼育する方法をメインにご紹介しましょう。既にミズクラゲポリプをお楽しみ頂いているお客様も、是非この機会に初心に戻って再挑戦を。

ミズクラゲのポリプ
P-002 ミズクラゲのポリプ

なぜシャーレなのか

今回は、手間がかかること自体を楽しんで頂く趣向なのです。
この方法が飼いやすい、っていうわけではないのです。初心者でも失敗なく、手間もかからず飼育する、っていうだけなら、当店オリジナルのポリプ用ミニ水槽のほうが優れていますし、飼育方法はこの2通り以外にも、星の数ほど存在します。一番いい方法なんてありません。
だいたいシャーレなんて、懐かしいでしょ。ペトリ皿とも言いましたっけ。昔学校で実験用に使ってたのはガラス製でしたが、お届けするのは医療用に使われるプラスチック製で直径9センチくらいのもの。水を入れてもだいたい20ccくらい。これはほとんど、肉眼でも観察できる最小のアクアリウムです。これで飼育できる生き物で最もエキサイティングで手軽なもの、というならミズクラゲのポリプ、ということになるのではないでしょうか。
「観察用シャーレ」は生体のみ、のセット以外に付属してます。「ポリプ用ミニ水槽」にもついていますから、ご注文の際はご予算にあわせて。


ミズクラゲについておさらい

他のページと重複することもあるんだけど、ミズクラゲについておさらいをしておきましょう。
ミズクラゲは、まあ、ほんとに普通のクラゲです。ほぼ全世界に生息し、日本では北海道を除く各地の沿岸で見かけることができます。
学名Aurelia aurita 。刺胞動物門鉢虫鋼旗口クラゲ目ウルマリス科。
ウルマリス科はミズクラゲ科と表記されることもあります。同属のキタミズクラゲAurelia limbata のほか、アマガサクラゲ、サムクラゲなどが近縁種。
クラゲ=刺す、というイメージから、海水浴場では嫌われもののようですが人間にはほとんど無毒、皮膚の弱い人でも痒みを覚える程度。刺された、と感じたときにたまたま目に付くのでクラゲとしてはかなり大きく、よく見えるミズクラゲがヌレギヌを着せられることも多いようです。
半透明の鏡餅みたいなヤツで、水面に浮かんでいるところや砂浜に打ち上げられた個体を見るかぎりではぶよぶよした気味の悪い生き物、くらいにしか思えません。手網で持ち上げてみても同様。この繊細な生き物の本当の姿を見たければ周到な準備と注意が必要。バケツか、できればプラスチックの飼育ケースで、海水ごとそっと汲み上げてみると・・・遠くから見てるだけではわからないその美しさにびっくりします。
実験動物としてはもう古典とも言えますし、学校で習う世代交代(または世代交番)のモデルとしてお馴染み。卵->無性生殖をするポリプ->ストロビラ->エフィラ->有性生殖をするメデューサ(クラゲ)という典型的な生活環をなんとなく覚えていませんか?
昨今のクラゲブームの火付け役となった市販のクラゲ水槽にセットとして販売されたのもこのミズクラゲ、ただしあちらは残念ながらポリプではなくメデューサだけの販売でした。でも本当の面白さはポリプにある、というのがMyAQUA流。それに一粒で二度美味しい、というやつですからね。


セットが届いたら

まずシャーレを置く場所を決めましょう。小さいものだからどこでも置けますが、海水を入れるから電気製品の上などは御法度。作業のしやすい場所がいいでしょうね。私は机の上にポリプ用のスペースを確保してそのまま作業を出来るようにしていますが、置き場所と作業場が別々の場合は何かお盆のようなものに載せたまま移動できるようにするのがいいでしょう。
ポリプの適温は、だいたい20℃前後で、高温の方は徐々に上下する分には35℃近くでも耐えられます。一方低い方は、5℃近くまで平気ではあるんだけど、15℃を切るとクラゲを出し始めちゃいます。夏場は涼しいところ、冬場は暖房の直接あたらない室温、というところがちょうどいい。
ポリプは20ccくらいの、小さなプラスチックの密閉容器に入って届きます。これをそのまま、海水ごとシャーレの中に入れます。ちょっと海水が足らないはずなので、飼育用海水からピペットを使って5~10ccくらい、海水を足します。そうそう、ポリプ容器のなかにポリプがくっついて残っちゃうこともあるので気をつけて。
シャーレはホコリ除けの蓋がついてるのでこれをかぶせて、一段落。ポリプ用ミニ水槽を購入されたかたは、のんびり組み立てを始めてください。


まず観察、これが基本

ちょっと落ち着いたところで、ミズクラゲのポリプをじっくり見てみましょう。まず頭数を数えてください。約5個体、ということでお送りしていますが、店主のおおざっぱな性格ゆえ数個体多めに入れて梱包する傾向があるうえ、到着までにポリプが分裂しちゃってる可能性もありますので。
シャーレでの観察は、下に黒いものを置いた方がポリプを見やすいようです。

ポリプはオレンジ色をしていますが、これは本来の色というよりは、餌のブラインシュリンプに含まれるカロチノイドが蓄積したもの。長期間絶食したポリプは白色半透明といったところです。形は、イソギンチャクにそっくりで、触手は16本。触手に囲まれて口があります。反対側に足盤があって、これによって容器の底や側面に定着しているわけですが・・・届いたばかりではまだごろごろと転がっているだけですよね。


固着するまでのがまん

ポリプというのは、もともとどこかにくっついているイソギンチャク的生活をしているものです。自分で動く、ということはイソギンチャクに比べるとまれで、どちらかというと一ヶ所に定着したまま分裂しながらナワバリを拡大していく、という戦略をもっています。このせいか無理矢理はがされると、再度定着するまでかなり時間がかかるようで、1週間ぐらいそのままゴロゴロしています。イソギンチャクやヒドラなどでは、すぐに再定着するのですけどね。
さらに、定着する場所へのより好みがあって、厄介なことに新品のシャーレの底面、なんていうのはあまり好ましくないようです。これを手っ取り早く定着させる裏ワザ、なんてのも実は存在するのですが・・・それは後回しにして、今回はじっと待つことにいたしましょう。あまり動かさないようにして最長でも2週間ぐらい放置すれば、ちゃんと定着してくれるやつが出てきます。一匹でも定着してくれたら、定着しない個体を他の容器に移しておくか、ポリプ用ミニ水槽に移して次のステップに移りましょう。

でもどうしても待てない、という気の短い人(実は店主もそのひとり)向けの方法を2つほど。
一つは、固着する前に給餌を始めちゃう、という方法。
もうひとつは、固着促進の秘薬を使用すること。使うのは、市販の、「テトラ・アクアセイフ」、という商品名の昔からある水質調整剤です。これをほんの微量爪楊枝の先の一滴くらいをシャーレの飼育水に加えるか、先に底に塗り付けておくかすると、ポリプ固着がずいぶん早くなるのです。使うのは最初の一回だけなので、わざわざ購入して試すほどではありませんが、お手元にお持ちなら使ってみるのも一興かと。なぜ効くかの種明かしはのちほど。


ご飯の用意をしよう

ポリプのゴハンは、ブラインシュリンプ、というもの。セットには、茶色い粉みたいなものが入っていますが、
くれぐれも、そのまま与えないように。
これは乾燥状態のエビの卵で、必ず孵化させてから与えます。ポリプとは別の容器で孵化させます。
孵化させる方法は簡単。キットのほかに用意していただくものは以下の通り。

・適当な浅い容器(弁当箱サイズのタッパウェアなど、四角いものが最良)

・塩(食塩よりも荒塩の方がちょっといい。ちょっと贅沢だけど人工海水の素が最適。)(食塩よりも荒塩の方がちょっといい。ちょっと贅沢だけど人工海水の素が最適。)

・コーヒー用のペーパーフィルターなど

容器に、塩水(1リットルあたり20gくらい)を深さが1cmくらいになるように入れて、ごく少量のブラインシュリンプの卵(添付のスプーン一杯の、さらに5分の1くらい)をばらまくように入れて、容器をゆすって均等に沈むようにします。
これで24時間から48時間後には、オレンジ色の、小さなエビが孵化してきます。冬場は孵化に時間がかかっちゃうので容器ごと保温するか、早めに準備をするようにします。摂氏20度から30度くらいが適温。
都合がいいことに、孵化したブラインシュリンプは、明るいところを目指して泳ぐ、という性質を持っています。しかもどういうわけか、四角い容器の中では隅っこに集まってくれるのでこれをピペットで吸い取って集めます。そのまま与えず、コーヒー用のペーパーフィルターで一回濾して与えます。これは、孵化に使った塩水が汚れている為。淡水で一度洗って、新しい海水に戻すのが一番ですが、まあさほど神経質になる必要はありません。
ポリプは2ヶ月ぐらいは絶食させても大丈夫だから、失敗しても慌てず、最初からやり直してみましょう。
これ馴れると簡単なことなんですけどね。自信の無い方は、一度くらい練習のつもりで孵化させてみるのもいいかも。


ご飯を与える

さて、洗ったブラインシュリンプをハラペコで待っているポリプたちに与えましょう。ポリプ一匹あたり、2匹から10匹ぐらいのブラインシュリンプを食べるのですが・・・まあ最初のうちはポリプが少ないですからね。見てると、じれったいくらいに食べ損なってくれますよ。仕方ないので、ちょっと多めに与えて、食べ残しを後で除去する、という方法をとりましょう。海水の量もちょっと少な目にしたほうがいいかもしれない。
ブラインシュリンプは(ここでは都合が悪いことに!)例の光に向かって泳いでいっちゃう、という性質を見せますから、シャーレの端の方に集まってしまいます。シャーレを180度回転させて、ブラインシュリンプが触手に触れるようにしてやるのも愛情。
餌を食べる様子が観察しやすいことも、シャーレで飼育するメリットのひとつ。「触手に触れた餌を口に持っていって飲み込む」なんて書くとあっさりしてますが、見ると聞くとではやっぱり大違い。縮尺こそ小さいですが、その迫力はちょっとしたもんですよ。テレビの野生動物フィルムの、大型肉食獣のサバンナでのハンティングシーンにもひけをとらない。これは是非、実物を見てもらいたいもんです。


ご飯の後は必ず換水

シャーレなどろ過装置無しで飼うときの極意は、これにかかっています。すなわち、餌を与えたら必ず換水。これを一回サボると育て上げてきたポリプたちがあっけなく全滅、ということが有り得るのです。
目的は、餌の食べ残し、ポリプの排泄物(未消化物と、おしっこ)を取り除くこと。
方法自体は、簡単。ピペットでシャーレの海水を吸い出して、新しい海水を入れる。一度で全部、というわけには行かないので、2回ぐらい繰り返す。
海水は全交換するべきです。普通の、ろ過装置を使う水槽では、古い水から新しい水への水質の急変が御法度、といわれていることですが、ろ過装置を使わない水槽の場合は、常に「新しい水」で飼っている状態ですから、その心配はないのです。ただし、水温だけは、大体でいいのであらかじめ合わせておきます。誤差2℃以下なら、まあ安心。
餌の食べ残しは特に、急速に水質を悪化させます。理論的には生きたブラインシュリンプを与えているのでそのまま生きてるから大丈夫なんじゃないか、という気がしますが、残念ながら実際はそうはならない。ポリプに限らず刺胞動物を飼育している海水には、結構な量の刺胞と刺胞毒が残っていまして、ブラインシュリンプがそれにあたってたいていは死んじゃう。自然界では死体はバクテリアの分解を受けて土に返るというか、まあこの場合は水に戻るのですが、狭い水槽では毒性の高いアンモニアの蓄積、ということになっちゃう。固形物のうちに取り除くのが得策です。
アンモニア、といえばおしっこもそうですね。ポリプもオシッコ、というべきかわかりませんがアンモニアを排泄します。とくにそういう器官があるわけでなく、体表全体から出しているのです。
換水のタイミングですが、ポリプがうんち(キタナイ表現になっちゃってすみません)をした直後、というのが一番よろしい。ポリプは口だけあって肛門が無いので、未消化物は口から出すしかありません。つまり、いったんお腹いっぱいになったら未消化物をなんとかしない限り次のゴハンを食べられない、という都合上、餌を消化して栄養を吸収しちゃったらさっさと排泄しちゃいます。目安としては、給餌後4時間ぐらい、とよくいわれるのですが、多忙な現代人はなかなか4時間つきあっていられませんからね。まあ1時間後ぐらいでいったんざっと換水して、半日後とか、翌日にもう一回換水、というのが現実的かな。
なんかこれだけ脅かされちゃうと、なんか大変な作業みたいに見えて飼育に二の足を踏んじゃう方もおられるかとおもいますが、このゲームの「ルール」は飼育者に圧倒的に有利にできてるんです。それに、作業自体は、楽しい。詳しくは次の項で。


換水できないときには給餌しない

そう、簡単なことですよ。寝坊して30分後に出かけなきゃなきゃ遅刻するとか、疲れて帰ってきてもうすぐ寝たい、というときに、わざわざ餌やって、最低一時間待って・・・なんてしなくていい。ミズクラゲのポリプはほっといても一週間くらいはびくともしません。それを過ぎるとさすがに痩せてくるというか、縮んでいってしまいます。ミズクラゲのポリプに関しては、最長2ヶ月絶食させても大丈夫、と聞いて一度チャレンジしてみたことがありますが、生きてましたよ。ただし縮み方がすごくて、タテヨコ2mmくらいあった個体でも、0.4mmくらい、ゴミにしか見えない。色も真っ白になっちゃって、どうなることかと思いましたがブラインシュリンプを与えたらちゃんと復活しました。飢餓状態を小さくなってやりすごす、というのは深く考えれば超能力ともいえるすごいことで、我々脊椎動物には到底真似できない。多分自己の細胞を分解して、栄養として再利用する、なんてことをやってるんでしょう。タコが腹減ると自分の足を食う、なんてのとはちょっと違う。ポリプが、クローンであっても自己認識して共食いしない、ということを考えるとさらにすごい。
だから通常餌を与える回数も、増殖してもらいたい最初のうちだけ毎日か一日おき、維持するだけであれば週に1回か2回がちょうどいいのです。夏と冬ではさらに違ってきますが、ポリプの色がオレンジ色から真っ白になって来る頃合いを見計らって給餌するのがひとつの目安になるでしょう。
そんなわけで、ポリプ飼っててもちょっとした出張や旅行もできますが、故意に長期間絶食させるときは、ときどき換水だけはするか、密閉できる容器に移すなどしないと、海水が蒸発によって濃くなってしまいますから要注意。


増殖する

ポリプは無性的に、つまり卵を産むのではなく分裂または出芽によって増殖します。
出芽というのは、ヒドラの普通の増え方と同じ。ただし、ヒドラに比べてずん胴なミズクラゲポリプはほとんど足盤に近いあたりに膨らみができたかと思うと新しい口ができ、触手が伸びて新しいポリプが完成する、といった感じです。さらにこのバリエーションとして、足盤に近い部分に膨らみができて根っこのように伸び、この先に新しいポリプが生まれる、というのもあります。この根っこは走根(ストロン)といいまして、ヒドロ虫類ポリプのヒドロ根に比べると太くて肉質で、走根自体がポリプ本体から離れた後でポリプ化する、ということもあります。他にもパターンは色々ありまして、同じ個体、同じクローンが気まぐれなのか、環境に合わせてかそれを使い分けているようです。
もうひとつ、分裂というのは、先ほどの走根が2本、ポリプの両側に出来て本体を引っ張り合うようにして、真ん中で2分裂した新しい2つのポリプが生まれる、というもの。シャーレ内ではけっこうよく観察できます。餌を頻繁に与えて太った状態でよく起るようです。
餌を与えた時のあのダイナミックさとは逆にゆっくり静かに殖えていくので、気がついたら殖えてたという感じですが、それでも一週間ぐらいで倍、倍と増えていくのですから最初の5匹のポリプが一年で何匹になるか計算するとちょっと恐い。こういうのをよくネズミ算なんていいますが、ネズミの増殖なんて、ポリプに比べたら足元にも及ばない。なんたってあっちは有性生殖ですから、いっぺんに子供10匹産んだとしても、半分はオス、つまり生殖コスト的にはまったく無駄なものです。そう、この話は一般化出来ます。有性生殖は無性生殖の2倍のコストがかかるのです。
おまけに、我々と同じ哺乳類であるネズミは生殖に使えるエネルギーのうちかなりの部分を体温の維持に使っていますし、動き回って餌を探したり配偶者を見つけたり、ケンカしたり遊んだり飼い主に愛想をふりまいたり、まあいろいろ無駄なことに使っているわけです。それに引き換え、我らがミズクラゲポリプは変温動物にして付着生物ですから、じっと待って餌が来たら食うだけ、わずかに刺胞を補充するところにコストがかかりますが、餌を食うのに使うだけですから実に効率がよろしい。ほとんどの栄養を自分のコピーを作ることだけに費やす理想的な自己増殖マシーンなのです。


ポリプ移植には爪楊枝

一枚のシャーレの中で飼育できるポリプの数には限界があるので、増えすぎたら別の容器に移す、という作業が必要になるわけです。ポリプはシャーレの底か側面に固着していますから、まずこれをはがしてやらなければいけない。これには少々技術を要します。
まず爪楊枝を一本用意。鉛筆削りなどで先を尖らせた割り箸でもよろしい。この、尖っている方の先端を、ポリプがくっついている足盤の近くのシャーレ底面にしっかり押し付けます。次に、ポリプの足盤に向かって爪楊枝を滑らせ、横から足払いをかけるようにしてポリプをはがします。
馴れるとどうってことない作業ですが、いくつかのポイントがあります。まず爪楊枝、というのが大事。ちょうどいい尖り具合で、ポリプを傷つけません。
実は、これはミズクラゲ飼育の大先輩に教えてもらった方法で、ポリプを傷つけずにシャーレからはがす方法としてはこの右に出るものは無かったですね。


お掃除と秘薬の種明かし

爪楊枝を出してきたついでに、シャーレ底面の掃除もしておきましょう。一見綺麗に見えても、爪楊枝でちょっとこすってみるとなんだか茶色っぽいような、白っぽいようなゴミが出てきます。バクテリアや、珪藻(けいそう)の一種などが表面で繁殖したものです。あんまり神経質に綺麗にする必要はありませんが、ポリプがいない部分だけを掃除して、ピペットで吸い出しておきましょう。
実はこれが、先ほどのポリプ固着促進の種明かし。まずポリプがなぜ新しいシャーレを嫌うのかと申しますと、どうも清潔すぎるのがよろしくないようなのです。新品のシャーレはちょっと海水を入れたときに、水玉のようになって、海水をはじいていたでしょ?これが、長期間飼育に使っているシャーレでは、たとえば海水を全部ピペットで吸い出そうとしても底が濡れたままになってるはず。このような状態になったシャーレでは2日もかからずポリプが再固着します。この違いがバクテリアや珪藻といった微生物のせいなのです。
バクテリアの方はアクアリストにはおなじみの硝化バクテリア、などというやつで、本来ろ過装置をつけているような水槽ではろ材の表面に付着して有害なアンモニアを分解してくれるありがたい微生物、つまり善玉です。これらのバクテリアは自然界でもありとあらゆる固体表面上でせっせと水の浄化の仕事の一端を担っていて、これを水槽中でも再現するため、つまり住処となる表面積の大きい固体を水中に作ってやるのがろ過装置、というものなのです。
珪藻の方は代表的な植物プランクトンのひとつ、なんていうよりも、金魚や熱帯魚飼ってるアクアリストには水槽のガラス面にくっつく茶色い「コケ」(この用語も植物分類学上正しくないけど)といった方がきっと通りがいいでしょうね。
先にご紹介した「秘薬」のアクアセイフ、本来の目的は重金属中和と保護コロイドによる生物の皮膚の保護ですが、経験的に
コロイドが新品のろ材へのバクテリアの付着を促進してくれる
と同時に、
いわゆる「コケ」の発生を促進してしまう
ことも知られていまして、このせいでベテランのアクアリスト達は好んで使ったり、「コケ」発生を嫌って使わなかったりしてるのです。私自身も買ってはあるけどほとんど使わない。私の理由は換水のたびに使ってると結構高くつく、という経済的な理由なんですが。
他にもポリプ固着を促進するような秘薬として使えるものはいろいろありそうですが、試したことはありません。まあ、気長に待てば、いつかは、というものです。あわてることはありません。


飼育セットはご予算にあわせて

さあ、これでテクニックについては一通りお伝えできたと思います。

飼育セットの中身は以下の通り。

  • 観察用シャーレ φ90mm
  • ミニシャーレ φ30mm
  • ブラインシュリンプの卵(ポリプの餌)
  • ブラインシュリンプ用スプーン
  • ピペット
  • ミニピペット
  • 飼育用海水(500cc、すぐ使えます)
  • 人工海水の素(水換用500cc分x2)
  • 塩素中和剤(水道水のカルキ抜き)

餌と海水は必要に応じて買い足してください。塩素中和剤も。

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