タコクラゲのポリプ

お待たせいたしました。
ご紹介します。これが、タコクラゲのポリプです。かわいいでしょ?かわいくない?

捕食中のタコクラゲのポリプ


はじめまして、タコクラゲです

タコクラゲです。
タコみたいだからタコクラゲは安易すぎるネーミングのようですが、まん丸い頭部(クラゲ的にいうと、傘)と、8本の口腕(つまり、足)に足をはっきりと際立たせて長く見せている口腕付属器までついていて、これは我々がマンガ的にイメージするタコそのもの、タコよりもタコっぽい、といっても過言ではありません。
頭の部分はやや不規則な水玉状の白いスポットがあるのも大きな特徴です。色は全体的に褐色。傘の直径は最大で10cmぐらいが普通です。
白いスポットがなく、口腕付属器がない「カラータコ」として売られているクラゲは、タコクラゲとは別の種類です。 分類上はエチゼンクラゲやサカサクラゲと同じ根口クラゲ(ねくちくらげ)の仲間で、褐虫藻(かっちゅうそう)を体内に共生させてエネルギーを日光浴で調達しながら、小さな口で小さなプランクトンだけを食べる平和主義者、なんです。


小さくて可愛いポリプ

タコクラゲもポリプで増えるクラゲです。
サカサクラゲやミズクラゲのポリプを初めて見た方は、まあ、小さい!なんていうんだけど、タコクラゲはもっと小さい。
平均的な個体は2ミリメートルをちょっと超えるぐらい。このサイズで、もう大人、というのも変なはなしですが、ちゃんと増殖して、クラゲも出します。 ころんとしたイソギンチャク的な本体の根元は細い柄のような構造になって水槽内の基質に付着しています。
サカサクラゲポリプのミニチュア版といった感じです。触手はサカサクラゲポリプの半分の16本。
一度に一匹のエフィラを出す「モノディスカル・ストロビレーション」方式なのもサカサクラゲと同じですが、このエフィラもちょっと小さめ。
店主の主観がはいっちゃいますが、かなり可愛らしいイメージなのです。でもやっぱり肉食で、餌はブラインシュリンプ。
たくさん食べて満腹すると、数日の間にポリプは「卵」を産み始めます。


ポリプが産むのはプラヌロイド

そう、サカサクラゲでおなじみの、あのプラヌロイド増殖です。
おさらいすると、プラヌロイドとは「プラヌラのようなもの」という意味で、プラヌラ様幼生と呼ばれることもあります。
サカサクラゲやタコクラゲは、分裂や出芽ではなく、必ずこの「プラヌロイド」を出して無性的に増殖するのです。
プラヌロイドは数日のうちに固着する面をさがし、付着して新しいポリプに変身します。
ただしシャーレなどで飼育していると、かならず水底のなにかにくっつくというわけではなくて、表面張力を利用して水面でポリプになっちゃう個体もいます。
で、これが小さい。小さいといっても、肉眼でまったく見えないというほどではないのですが、直径0.2ミリメートルぐらいではないでしょうか。


ポリプ用水槽がお勧め

他のクラゲでは手間はかかっても観察しやすく、シャーレで飼育することを推奨してきましたが、タコクラゲの場合はちょっと問題です。
餌のブラインシュリンプを与えて数時間以内に海水を交換するのは他のポリプと同じ要領なのですが、なにせプラヌロイドが小さいので間違って捨てないようにするのが大変なのです。
そこで当店考案・販売中のポリプ育成用水槽の出番。ただし使い方にはコツがあります。注意して聞いてくださいね。


届いたらまずシャーレで

タコクラゲのポリプは、固着していない状態で小さな容器に入って届きます。海水をこぼさないように蓋をあけて、中身を海水ごとシャーレに入れてください。
ポリプが飼育容器の中でプラヌロイドを出していることがありますから、新しい海水で容器の中をちょっとゆすいで確認してください。
で、最初の一匹だけは、このままシャーレで飼育します。
餌もシャーレで与えてしまいます。他のポリプのようにではなくてできるだけ食べきる量を与えます。
ごく微量(せいぜい数匹ぐらい)なのですができるだけ孵化直後の小さいブラインを与えたいので、孵化させるタイミングに注意してください。


海水は一滴も捨てないで

餌を与え終わったら、食べ残しを取り除き、シャーレの海水を交換するのですが、ここがポイント。
捨てる海水は直接ポリプ育成用水槽に投入します。それから、プラヌロイドを見つけたら積極的にピペットで吸い取ってポリプ育成用水槽のほうに移してしまいます。
もともとシャーレでの飼育個体が少なくて与える餌もぎりぎりの少量なので、普段のお世話ではシャーレが干上がるほどでなくても半分ぐらいの交換だけで大丈夫。
プラヌロイドはポリプ育成用水槽の中で固着してポリプ化し、食べ残しの少量の餌を食べてのんびり成長します。
この方法ではポリプ育成用水槽のほうは海水がどんどんふえてきてしまうので、投入した分の海水は数日に一回抜き取るようにしてください。
これもいったん別容器に溜めて、一ヶ月分ぐらいたまったところで半分ずつ、捨てます。
ポリプが目に見えるようになってきたら、ポリプ育成用水槽にも直接餌のブラインを投入してください。
最初のシャーレのポリプはこの時点でポリプ育成用水槽に合流させてもいいけど、できれば餌の回数を週一回に減らして、バックアップとして飼い続けてみてください。たぶん最初にストロビラ化する一匹になると思います。シャーレはちょっとずつ汚れてきますが、ほどほどに掃除しておくのがいいみたいです。


水温について、など

ポリプは冬は保温が必要です。
適温は22℃~25℃ぐらい。18℃以下にならないように注意してください。
夏場の高温にもご注意を。水温が30℃を超えるた状態が続くようだと危険です。
ポリプの時期は特に明るい光は必要ありません。経験的には真っ暗にしないほうがうまくいくように思えるのですが、定かではありません。


いつかエフィラが出る

条件によって、タコクラゲのポリプはプラヌロイドではなく、エフィラを産み出す日がきます。ストロビラ化の条件は水温や水質の変化のようですが、はっきりしたことはわかりません。ただポリプが褐虫藻を持っていることが条件のひとつになっているようです。
ポリプの上部がくびれたようになり、そのまま数日以内にエフィラとなり、遊離します。
エフィラは小さくて、歯車のような形はミズクラゲのそれに似ていますが、もっと活発に泳ぎます。
食はミズクラゲよりも細いので、孵化直後の小さいブラインシュリンプをできるだけ頻繁に与えてください。最初は水流は必要なさそうです。
サカサクラゲと同じ様に、光を必要とします。水槽の温度が上がらないように光を与えてください。
運動量が多く酸素消費も多いので、サカサクラゲみたいなビン詰めでの飼育は避けてください。また、サカサクラゲと同じ水槽に飼うのは、よっぽど広い水槽でない限りタコクラゲのほうが刺胞にやられてしまいます。ミズクラゲとも一緒に飼うのはかわいそうです。ぜひタコクラゲだけでの飼育をお願いします。
メデューサの詳しい育て方については、またいつかの機会に。


飼いやすいポリプではないけれど

クラゲのポリプとしては飼育は難しい部類に入ります。ミズクラゲやサカサクラゲポリプのように、初心者でも安心して飼える、というポリプではありません。
先に述べたように小さくてプラヌロイドでしか増殖しない、というだけでなく、水温や水質などちょっと気難しいところがあって、触手を伸ばさなくなったときに気づかずに放置するとそのまま縮んでいなくなってしまうこともあるのです。
ただしいったん海水になじんでしまえば、あとは水の汚れと水温にだけ気をつけていれば安定した増殖を見せてくれます。
なんといってもポリプなので、大げさな機材がいるわけでもないし、失敗したり悩んだりしてこそが生き物の飼育の醍醐味ではありませんか。
ミズクラゲやサカサクラゲのポリプを経験されたお客様には、ぜひ挑戦していただきたい一種です。


タコクラゲ仲間募集します

難易度など諸事情から他のポリプよりも少し高価ですが、そのかわり、ポリプ育成用水槽キット付の販売価格を少しだけ、お求め易く設定しました。飼育に自身のない初心者の方はもちろん、腕に覚えのあるベテランアクアリストにもポリプ水槽の威力を試していただきたいので。
飼育には自信がないけどタコクラゲ大好き!というかたも、一度どうぞ、手元に置いてやってください。
もちろん、再チャレンジ対象商品です。肩の力を抜いて、深呼吸して、飼育に挑んでください。

P-006 タコクラゲのポリプ(3個体) ¥2,000(送料別)
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