ピンクのゾウリムシ(ブレファリスマ)

ブレファリスマ
ピンクのゾウリムシこと、ブレファリスマ

赤いゾウリムシ

ブレファリスマBlepharisma と言います。和名ではベニミズケミムシ。Blrphaはまつげの意味なんですって。よく培養されている種はBlepharisma japonicum で、うちのも多分これ。

正確には、ゾウリムシとは同じ繊毛虫(せんもうちゅう)の仲間ではあるのですが、別属、親戚みたいなもんです。

透明か半透明が圧倒的多数派の繊毛虫類の中で赤いのは珍しい。大きさも0.3~0.7ミリメートルと単細胞生物としてはかなり大きめ。

まつ毛に見立てられる繊毛は長くて低倍率の顕微鏡でも動きが観察出来ます。

形は勾玉型とペイズリー模様のあれというか、言うか歪んだ涙滴、明朝体の読点(とうてん、つまりこの「、」)にそっくり。

赤色はブレファリスミン

赤い色素はブレファリスミン、ブレファリスマ自身が生成する化学物質で、ブレファリスマ以外の捕食者にとっては毒になります。だからゾウリムシみたいに、淡水魚類とか他の水性動物の餌としては利用しづらいのです。

では赤い色は警戒色なのか、と言うとそれだけではないみたい。

ブレファリスマは明るいところが嫌いで、泳いできて明るいところに出たとたんに方向転換して引き返す、つまり負の向光性を持っています。このセンサーにもこのブレファリスミンが関係してるらしいのです。

更には有害な紫外線をブロックする役割も同じ色素が担っているとか。ただ明るいところで飼育したブレファリスマの方がより濃い赤色になるということも知られていまして、元々何のための色素だったのか分かりにくい所です。

提案、最小アクアリウム

例によっていろいろな培養方法があってそれぞれ一長一短なんですが、MyAQUA が提唱するのは最小限アクアリウムでの飼育です。

おすすめは直径40ミリのシャーレ、(通称豆シャーレ)で、塩素中和した水道水かミネラルウォーターを適量、餌として有機栽培の大麦粒を一粒。これで基本セット完了。

ブレファリスマは最初は数えられる位の個体数を投入します。一匹でも大丈夫。毎日数えていれば分裂によって増えていく様子が楽しめます。増えるのにあわせて麦粒の周辺にバクテリアが増殖してブレファリスマの餌が供給される仕組み。

蒸発で水が減ったら、塩素中和済みの水を豆シャーレの蓋か何かを使ってそおっと足すだけ。他の原生動物なら気を使ってミネラルウォーターとか精製水など用意するところですが、ブレファリスマには心配無用です。

いつもの原生動物の培養ならコンタミ、すなわち他の原生動物やら藻類やらワムシなんかの混入を警戒して蓋を厳重にしたりするところですが、ブレファリスマに限ってはそんなこと気にしないで、もう適当にどうぞ。丈夫なやつなんです。

共食い、巨大化

ペットとしては良いとこ尽くしのブレファリスマですが、人によってはちょっと抵抗になるかも知れない性質がこちら。

餌が豊富な時は小さいまま分裂して増えるのですが、飢餓状態では仲間のブレファリスマを捕食、丸のみして大型化(とはいっても0.7ミリメートルくらい)します。 この時には例の毒は害になりません。

細胞分裂して増えたクローンだろうがお構い無しに食い合うのは残酷な感じがしますが、危機を切り抜けるためにちっちゃいメカとかモンスターが合体して巨大化する、あのイメージに近いとお考えください。

共食い以外でもブレファリスマが他の繊毛虫を餌として捕食する事があるのですが、この時もやや大きめの個体になります。

休眠

お休み中のブレファリスマ
ブレファリスマのシスト

共食いだけでは解決できないほど過酷な環境だったり水温が低すぎたりしたときには更なる「変身」を見せてくれます。これはゾウリムシとかミドリムシでは観察できないブレファリスマならではの姿、クチクラ質のカプセルに入ったシストを作っての休眠状態で、ある程度の乾燥にも耐えるようです。

快適な環境にもどせばカプセルを破って復活しますから、この点でも何かの拍子に全滅しちゃうゾウリムシなどに比べると維持しやすい原生動物と言えます。

役に立つ生き物ではないけれど

ゾウリムシのように観賞魚の初期飼料として役にたったり、ミドリムシみたいに食料や燃料としての使い途があるわけではないし、教科書載っていて試験に出る生き物でもありません。

ただ水があって生き物がいる環境が好き、という原始的で純粋なアクアリウム欲求を満たすだけのキットです。ゾウリムシとは違って1ミリリットル入っているのは数えるほどの量ですのでのんびり増やしてお楽しみください。

NE-003F
ブレファリスマ(おまけ)1mlマイクロチューブ入り生体のみ
無料(送料別)
入荷待ち
NE-003 ブレファリスマ生体のみ
( 2つめ以降 または 郵送)
¥500(送料込)
入荷待ち
NE-033ブレファリスマ +飼育キット(郵送) ¥1,200(送料込)
入荷待ち

セットにつき3~10細胞を入れてお送りします。

NE-033の飼育キットの内容は以下のとおり。

・ブレファリスマ(3個体以上)
・塩素中和剤(水道水のカルキ抜き)
・餌(麦粒)少量
・ミニピペット
・極小ピペット
・ミニシャーレ
・ガラスビーズ(簡易顕微鏡自作用) 

クラゲとポリプの販売サイトです。